知って得するQ&A


Q7:種親に使ったらんちゅうで確実に仔に遺伝する悪い欠点とはどのようなものがありますか?例えば腰が高いとか・・・・  遺伝しない欠点とかはありますか?  種親として使うべきではない欠点とはどのようなものがありますか? あと疑問に思うのですが・・・・  獅子頭の種親と龍頭の種親ではどのような頭になるのですか?
らんちゅうは、緋ブナを先祖とし、突然変異によって現在のらんちゅうの原型が出来たと学問上では報告されております。それらのらんちゅうを現代らんちゅうとして固定なさったのは、石川亀吉翁です。それ故、遺伝上最も嫌うのは(和金を想像していただくとお分かりになると思いますが)肉りゅうの未発達、背びれ、尾筒にさしたフナ尾です。  しかしながら、現在のらんちゅうはそれらの欠点を選別と淘汰により先輩諸氏が改良に改良を重ねてまいりました。  それ故、あなたの質問を明解にするには、種親魚の選定はメンデルの法則にのっとり何年かかけてご自分で分類しその中から、あなたの求めるらんちゅうを残されたらどうでしょうか。  獅子頭と辰頭と交配させたらとありますが1対1の交配ならば、メンデルの法則にしたがって生まれてきますのでご自分で体験なさると疑問が解けると思います。ちなみに、私の場合は自分の血統を、実験計画法にのっとり、作り出すまでに30年の年月を費やしました。
{ このご質問に関してはたくさんの方々がご意見を述べられました。下記内容もご覧ください。各ご意見は当時の掲示板の名前のまま }
[龍頭さんのご意見]
1.  しのぶさんの質問に関する答えは間違えているのではないかと思います。獅子頭など頭の形質は遺伝学的に言うところの、質的な形質ではなく、量的な形質であると思います。したがって、メンデル遺伝しない形質であり、中間型を中心として、たとえば目先の長さやときんの高さなどを測った場合、グラフにすると正規分布の形になると思います。メンデル遺伝とは例えば血液型などの質的形質の遺伝様式に当てはまるのではないでしょうか。如何でしょうか。
2. 失礼なことを書き込んでしまったのかも知れません。  量的な形質(例えば身長や体重)などを決める形質は染色体上のたくさんの遺伝子が支配していて、メンデルがモデルとした実験と違い、メンデルの法則のように1個(優勢・分配の法則)もしくは2個(独立の法則)の遺伝子に支配されているメンデルの法則は単純に当てはまるものではありません。私は一応、大学で水産学を専攻し、仕事で海の生き物を扱い、初心者ですがらんちゅう愛好者でもあります。らんちゅうの世界は間違った知識がたくさんあります。ただし、伝統と経験からすばらしい飼育法が反面であると思います。残念ですが、宇野系と協会系のらんちゅうを掛け合わせ、いかにも新しい系統のように販売されている例も見受けられます。(この場合、1代程度ではその仔同士を交配すると宇野系と協会系が入り混じって出てくる。らんちゅう飼育は趣味でそんなところまで立ち入らなくてもいいのかもしれませんが、事実を知らずに購入している人がほとんどです。こう言った面に切り込んでいるのが神ちゅう会だと私は理解していますので、思わず書き込んでしまいました。失礼をお許しください。
[獅子頭さんの龍頭さんへの質問]  宇野系と協会系のかけ合わせで1代で理想の魚が出来ると思う考えに反対なのは私も同感です。  私もらんちゅうの仔引きを少なからず経験しているものですが、遺伝学的に云う量的な形質であり、正規分布になるとして、ら んちゅうには長手、中長手、丸手の体型があり更に各々の体系ごとに幅の魚、丸胴の魚、次に腹型と尾筒が成長のベクトルが同一方向に行く場合と逆になる場合、又は、皮膚の収斂によるおかめ頭、龍頭、獅子頭の完成時期が異なる(松井桂一博士の論文)のでいつの時点で目先やときんの高さを測るのでしょうか?  尾形の平面図は同じであっても平ずけのもの、下がり尾ずけのもの、尾肉の厚さ、など量的遺伝と考えるとよろしいのでしょ うか。私は仔引きをするにあたって前に述べたことを総合的にすすめるために先輩の学説を参考にして仔引きをしてきました血液型などの質的形質遺伝に対して、量的形質遺伝とはらんちゅうで云うとどのようなことなのでしょうか分かりやすく説明願えればと思います。  らんちゅうの飼育については、理論と実践の両輪を融合して進めることが今後の課題だと私は考えますがいかがでしょうか。よろしく御願いいたします。
[上記質問に関する龍頭さんの回答]  量的形質とは大まかに言って数字で表せれる形質です。少々、乱暴ですが・・・。従って、らんちゅうの大きさや重さはもちろんのこと、背幅や筒の太さ、または色柄の赤の濃さなどもこれに入ると思います。ご指摘のように、いろんな形質は 1固体ですべてが揃うものではありません。すなわち、頭に注目して親を決めると「頭作れば何とやら・・・。」になるのです。また、産卵に使う親は表現型のみを見て選択するので、表現型とは異なる遺伝子の表現型がその子供に現れたりします。量的な形質の遺伝子による表現型への影響は2-3割であとの7-8割は環境によると言われています。しかしながら、らんちゅうの飼育は基本的には先人たちの努力によってある程度の形(水深をどれくらいにするとか、餌のつけ方など)がよほど変わったことをしない限り、大きな違いはないと思います。従って、かなり遺伝が重要になると思います。下の質問で尾芯の立ちと水深について興味深い記述を神ちゅう会の方がしていますが、あの深い水深でも、尾芯だれの魚を親に使えば、尾芯の立ちを遺伝的に2-3割りは防げると言うのが量的形質の遺伝なのです。先にも書きましたが、あくまで親は表現型を見て決めますので、例えば、より目先の長い魚を求めるなら、まず、両親ともフンタンの長い親を使い、その子供からまた、フンタンの長い魚を親に使って、正規分布の中心をよりフンタンの長い方向へ選抜していけば、フンタンの長い系統が出来ると思います。ただし、たくさんの量的形質がありますので、1つを求めれば片方が欠ける結果となりますので、自分の理想で出来るだけたくさんの目的の形質をクリアしている親を使うように心がける必要があります。これが簡単に出来れば、優魚ばかりになるでしょうね。  しかし現実は優魚を作るのは容易いことではないでしょうね。ここがらんちゅう飼育の醍醐味だと思うのですが、如何でしょうか。先ずは自分の好きなタイプ、すなわち、両親とも似た好みのタイプの魚を交配することから始めることが重要だと思います。こう言う量的形質の遺伝を操って、野木系と言って良いほどのらんちゅうを作り上げたのが、野木さんをはじめとして神ちゅう会だと私は認識しています。また、量的形質の測定は何時が良いかとと言う質問ですが、特に限定する必要はないですが、当歳、二歳、親で 10月に計るとか自分で決めたら良いと思います。申し訳ありません。あまり良い答えではなかったかもしれません。
Q8:高栄養価のペレットを多投与する飼育に深く疑問を感じるのですが、経験が浅いので”彫り込み”に関し何かアドバイスを頂ければ光栄です。
 水産庁研究所や大手飼料メーカーの研究によると、鯉科(金魚)の場合、最大成長を期待する為の粗蛋白必要量は、45%前後といわれています。具体的には、粗蛋白としては魚粉ミールあるいは、オキアミミールが50%前後です。また配合飼料の場合は、含水率が5%~10%前後に対して赤虫やミジンコ等の動物性飼料の場合、含水率が80%前後です。それ故どうしても配合飼料は、余分にやりすぎる傾向があります。  ちなみに私の場合は、あなたの言う”彫り込み”の魚を作るために、含水率を固形物換算で比較して、体積で赤虫5に対して配合飼料を1として与えています。但し、私の配合飼料は、自家製です。
[仏師さんの追加文]  換算の解釈について
 大変ありがとうございます。アドバイスの内容ですが、冷凍アカムシの含水率90%、ペレットの形状1グラムが2cc、いずれも 固形質換算した状態で栄養価がおおよそ1:1とする仮定のもと、「体積比較でアカムシ5に対しペレット1」は栄養価比較でアカムシ1に対しペレット1と解釈しましたが・・・・・?  あくまでも自分なりの解釈ですが、方向性がつかめたような気がします。


Q9:今年、ランチュウが産卵したのですがブラインシュリンプのふ化をさせる時2リットルの水に対して塩は何グラム必要ですか? 何%の海水にしたらいいのですか?
通常は、海水の塩の濃度(3%)つまり水10リットルに塩300グラムです。その時の水温は28℃です。24時間後に孵化します。  ですから、あなたの場合は2リットルに塩60グラムになります。私の場合は、今年は、メーカーの指示(毎年採卵条件が異なるため)により水10リットルに塩240グラム(2.4%)水温は28℃で24時間後孵化です。あなたの御使いのブラインシュリンプのメーカーの指示に従い、塩濃度、水温を決められるとそのブラインの最高の孵化が得られます。なお、与える場合の留意点としては、その日のものは、その日のうちに与えきってください。もったいないからと言って残存ブラインを翌日に与えますと栄養が低下します。
Q10:LINK先の「らんちゅうの喜ぶ水」に「我々も横浜の硬度四十を想定して餌を作っていますが、他地区の会員に同じ餌をやりますと、効果が全く違ってくるわけです。」とカルシウムとリンの配合バランスに関する記載がありますが、水と餌を一体と考えた上で上記配合バランスが崩れ1)カルシウムの配合が高い場合、2)低い場合では全体的(頭部と体部)な骨格形成バランス(比率)は異なるのでしょうか?できれば”効果が全く違う”に関してより詳しい内容をご教授願えれば光栄です。
 国内でリンとカルシュウムと成長に関する最も権威ある研究を発表している先生は、広島県内水面試験場の村上先生です。内水面試験場に電話して、村上先生にお聞きするかもし退官なさっておられるならば試験場に御願いして文献を取り寄せて研究してください。公的機関ですので、親切に教えていただけます。
[仏師さんの追加文]  水の調合について
1. 水と餌を一体と考えた場合、例に硬度40の水(カルシュウム)には相当のタンパク質等が配合されることでバランスのとれた発育が可能なのでしょうか?仮に上記餌を硬度35の水で使用するとタンパク質過多の状態になり通称いも状態に発育するのでしょうか?と考えて水の調整を行った上でペレットを投与する方法に改善?しました。  少なくとも発育は改善される方向になったと観ています。健康も良好のようです。
2. 上記に対する大まかな数値的データが取れました。頭部(口先端から肉留後端まで)と体部(前記肉留後端から尾筒末端まで)の比率が5月初期で1:2.6~2.5(*)、6月初期で1:2.4と頭部の骨格がより大きく発育しました。また、肉留もより発達しました。この期間で水の調合を行ったのは20日間くらいでしょうか。数値取得の被験魚以外(被験魚は全部で二歳三匹)も同様の傾向で一匹の雌に傾向が顕著で、鼻端が前及び上方向に発達し、上横後どの方向から見てもその大きさが分かります。ただ、この魚については遺伝的要素も大きいでしょうが、写真を比較するとこの期間での変化は明らかで、水調合前にこのような顕著な傾向が観察されなかったことから因果関係はあると考えています。秋期大会に出品致しますので、厳しい評価をお願い致します。    (*)は写真測定のためここに誤差を集約させたものです。    追伸、あくまでも自分の飼育の確立?のステップですからご参考にしていただければということです。
Q11:夕方に産卵で人工授精をしましたが、受精率はよくないようです。オスもしっかり精子を出していたので方法はいつもどうりです。何故でしょうか?
 白子の正常と異常について私の考えを述べさせていただきます。  白子が出ていたにもかかわらず、受精が悪いと述べられておりますが、多分白子の色は、乳白色が濃く、バラケテいない状態だったと思われます。それは、メスのフェロモンがオスに完全に感知していない為、活性化していない白子が出ていたものと考えます。  私の体験では、完全に活性化した白子は、ややあめ色をした無色透明に近い色をしております。  その場合、精子はバラケテおり、完全に活性化した(完全代謝)状態といえます。  そのことが今回の無精卵が多い理由といえると思いますがどうでしょうか。
Q12:日中の紫外線が受精を邪魔するということを聞いたことがありますが、そのあたりは、いかがでしょうか?
 日中に紫外線が受精を邪魔するというご質問ですが、紫外線の影響は無いものと思われます。何回か日光が強い午前9時頃からの産卵を体験しておりますが、受精、無精の差はありませんでした。  但し、光が強い場合(受精後数分以内)90%以上オスが生まれるということは、体験しております。水産学会の報告では、同じことを発表している先生もいらっしゃいます。  また、産卵直後卵を数分間5℃程度の冷水につけるとオス化することも発表されています。