知って得するQ&A

 このページは神ちゅう会掲示板(掲示板は現在は閉鎖中)等での会長への質問とその回答をまとめたページです。また、多くの方々からよく質問される内容に関しての回答も載せています。
旧HPの過去分を順次掲載していきます。

発泡体池について






Q1:井戸水では数日さらしておかないと肉瘤の発達が悪くなると聞いたことがあります。肉瘤の発達は水によって決まるものなのでしょうか?
私の知る限り井戸水を使ってらんちゅうを飼育し、肉りゅうの発達した魚を作っておられる方は、沢山います。そこで、井戸水のさらしについてですが、井戸水と水道水の差は、井戸水には吸い上げた時点で、酸素をまったく含んでおりません。それと同時に、水温が年間を通して15℃です。このためさらすことによって酸素を溶解した水になり、同時に空気に触れることによって、炭酸イオンの濃度が上昇します。実際には、1日間のエアレーションで十分です。 また、こぶは、水によって、決まるのかの質問ですが、こ ぶは、体から頭に向かって、皮膚が収れんしたものです。それは、松井佳一博士の実験でも甲状腺ホルモンとの関係であることが証明されております。私の実験では、こぶの発達は、水よりも餌の内容成分による影響と考えております。もちろん、そのときの用水の溶解性成分のバランスを保つことは当然です。
Q2-1:金魚伝承の 10センチの発泡体を組立 ヒラメの養殖池用のビニールシートについて 詳しくお教え願いませんでしょうか?
発泡体池の作り方 1.地元のタウンページを調べ(発泡スチロールの欄)10センチの発泡スチロールがあるかどうか確認する。 2.あなたが作りたい池の縦、横、深さ、底を決めて発泡体メーカーに電熱カッターで5面を切断してもらう(正確に切れる) 。 3.箱舟を作るには2.の部分板を接着剤で接着する必要があるのでメーカー指定のものを使う。普通の接着剤では、溶剤で発泡体が溶けてしまうので注意する。 4.あくのでないシートを調達する。 これは重要なので、当会指定の寿ペット(0462-22-4775)にTEL.して所定の大きさのものを買ってください(会員並の扱いとするよう私からつたえておきます )。 5.シートの購入面積例 縦1m横1m深さ30cmの場合の面積 1m(たて)+30cm(深さ)+40cm(上面と折り曲げ部分)となり2m×2m=4㎡を注文すればよい。 6.シートの張り方は折り紙方式で四角の箱舟型とする。(おるほうが裏に出るようにおる)また側面のシートは、ビニールテープ でおさえる。
Q2-2:Q&Aで発泡体池の作り方を読みましたが強度について紹介されていませんでした。補強しなくても強度は大丈夫なんですか? それともベニヤで囲む方がいいですか?予定では1800×1800×450と1800×900×450を制作したいと考えています。 大型の池も発泡スチロールの厚さを上げれば作る事が出来のでしょうか?教えて下さい。
ちなみに我が家の発泡体池は1500×1500×35厚み10センチの箱型に作る際に発泡体用接着剤で接着しております。 接着後、天はシートを張りやすくする為に、幅10センチ角の角材を置きます。池掃除は人間が中に入ってやりますが60キログラムの体重の人が2人で行っても異常はありません。現在、製作してから6年が経過しておりますが全く異常はありません。 また発泡スチロール板の購入に際しましては、発泡体メーカーに人間が乗っても大丈夫な高密度発泡スチロールを購入することをお勧めします。 なお、会員の中には、1800×1800×45の池を枠無しで作った人もいますが大丈夫でした。結構天の角材とシートが固定してくれている様におもいます。 さらに疑問の点がありましたら、ご質問ください。
Q3:稚魚の育成についてお聞きしたいことがあります。  生まれた稚魚にブラインシュリンプをやるとどうしても水の痛みがひどくなります。ですから、テトラのスポンジフィルターを使い、バ クテリアによるろ過をしてはどうかと思案しております。これならエアーの調整によって水流も緩やかにできますし、急激な水質の変 化もクリヤーできるだろうと考えたからです。しかし私の知人などは、瘤が出なくなるからやらないほうが良いといいます。スポンジフィルターを使った稚魚の育成についてどう思われますか?是非ともご教示ください。私は勤め人のため、こまめな水替えが困難です。よろしくお願いします。
 ブラインシュリンプは通常24時間で孵化します。  この孵化したばかりの幼生は、150メッシュのネットに引っかかる程度の小さなものです。  それゆえ、フイルターを使用した与え方は、濾過されてしまい幼生が死んだり、腐敗の原因になります。えび類は鮮度が命といわれており、死骸をそのままにしておくと水中のアンモニア濃度が上昇しますので、ランチュウの稚魚によくありません。虎の巻3にありますように循環飼育ですと硝酸態窒素が蓄積し水質が酸性サイドに傾きますので瘤が出るのに余りよいとはいえません。  あなたは時間がないとのことですが、よい品質のブラインシュリンプですと0.02パーセント食塩濃度で4時間は生きられますので、朝1回の与え方でも稚魚の成長にはそんなに心配する必要はありません。  私の例ですと、エアレーションのみで4~5日は水替えなしです。  要点としては品質鮮度のよいブラインシュリンプを用い孵化後の分離をきちんと行って、ブラインシュリンプの水側にかす等をなるべく残さないようにして与えることです。  日曜日等の時間のあるときにブラインシュリンプ幼生の淡水中の寿命観察をしてみてはどうでしょうか。
Q4:らんちゅうの卵が孵化してから10月の中旬の品評会(当歳)までどのような水深で飼育するのが良いのでしょうか?   昨年の5月ごろ、ある全国大会の常連の人の池を見せてもらったとき水深が浅かったと記憶しています。   (その当時は、らんちゅうにまったく興味がありませんでした・・・・・)   季節ごと、当歳、2歳、親ごとの水深と池の魚の数などの関係など教えてください。
過去に、私は日らん等で肉りゅうの発達がすばらしい出品者(約30名)の家を訪ね、肉りゅうの発達と水深との関係を調査したことがあります。  その結果、水深の浅い方では、6センチから深い方では、45センチまでありました。ということは肉りゅうの発達には6センチから45センチまでの水深では違いは見られませんでした。  また私宅では同じ親から生まれた当歳魚を2分の一づつ分け稚魚期から秋まで水深10センチと70センチの池で肉りゅうの発達に関する実験を行いましたが、相違は見られませんでした。このことから、私は通常の飼育である限り水深と肉りゅうの発達に特に相関関係はないと思います。  何故ならば、エアーポンプ等がない時代には、水温が高くなると上面と底面との温度差が大きくなるためえさを食べる際等に、ストレスを感じるためと考えられ先輩から後輩へと伝えられたものと思われます。  現代はエアーストーンの泡の水流で上面と底面の温度差がなくなっております。  次に、季節ごとの水深ですが、これは水深よりも1日の温度差が重要と考えます。それ故、らんちゅうは体温が水温とほぼ比例しておりますので1日の温度変化を、7度以下におさえたいものです。  また水量と魚数については、水1トン(1000リットル)に魚体重2キログラムが理想です。
Q5:らんちゅうの尾の形成・泳ぎと水深の関係はどうなのでしょうか?   稚魚期に水深が深いと尾を水平にして泳げないと言われました。   泳ぎを上手にする・尾の使い方を上手にするには稚魚期に水深をどのくらいの深さで飼育したらよいでしょうか?
 仔引き経験10年以上の愛魚家が疑問を抱くかなり高度なご質問ですが、私の体験、調査に基づいてお答えいたします。  らんちゅう稚魚期は尾芯の高低が定まる時期ですので水深の浅い深いは重要です。これは鯉の池を使った実験ではっきりしております。鯉は水深2.5メートルの清水で品評会用魚を仕上げますがそこにランチュウの稚魚を入れて(同じ親の稚魚2分の一)数ヶ月飼育しますと、見事といってよいほど尾芯立ち過ぎになり泳ぎが悪くなりました。また同じ稚魚の残り2分の1を水深10センチの池で飼育しましたところ尾芯立ちになったのは数%のオーダーでした。  このことから、一般的には、らんちゅう稚魚期の尾の形成には、水深は10センチ程度がよいものと考えます。  但し、尾の形成と尾さばきに関しては、血統(形態遺伝)によるものが80%以上を占め、残り20%が飼育方法に係わりますので親魚の選定(当歳から親魚までの成長過程での尾の変化をよく観察する)が重要です。  たとえば100面の池から1尾全国大会級の魚が出来上がった場合の血統と、10面の池から1尾出来上がった場合とでは良魚の生まれる確率は違う事を念頭に仔引きをする種親魚を決定する必要があります。
Q6:当歳魚での水深と背下りから尾付けの形成について質問させてください。私の周りでも尾の形成のため、色変わりまでは水深10cm程で飼育している人が多いのですが、色変わり後は背下りから尾付けの形成のため深くする人がいます。腰を上手く下げるためには水深を深くした方が良いのでしょうか?
 水深が10センチから30センチ程度の飼育ではらんちゅうの背下がりに影響が出ることはまったくありません。通常背下がりに変化がみられるのは、高温期の夏期(1日の水温変化が少ない)が過ぎ、当歳魚の仕上げに入る初秋になってからです。  それは尾筒伸びといって、親の血統から続いている形態遺伝(松井桂一博士も金魚の研究の著書で明記している)によるものと思われます。当然、尾びれも同様です。  それ故、少なくとも3代以上前からの種親について形態遺伝上の(たとえば腰白は背腰がよいとか)観察とメンデルの法則をよく理解してから仔引きに入るべきと考えます。  *(注)形態遺伝とは、親(先祖)の形質が子孫に一定の様相をとって伝わる現象。染色体上の遺伝子がこの働きをもつものとされます。メンデルが科学的解明を初めて行ったことは有名です。