神ちゅう会 審査基準

(平成3年7日吉日・初版)
会    長
審査委員長 野 木 一 男

Ⅰ.総則(私の理想とするらんちゅうについて)


らんちゅうの基本的姿勢は頭(かしら)・胴・尾からなっており、それぞれの特徴を生かし総体的につりあいの整ったものでなければならない。
総体的にバランスのとれたらんちゅうは、自然と泳ぎが上手である。
泳ぎが上手で鱗(うろこ)が細かく、肌つやがあり、胴体が円筒状をして頭部を持ち上げたらんちゅうは、体は小さくとも 、迫力がある。


Ⅱ.各部の基準


 1) 頭部


獅子頭(ししがしら)を理想とし、眼幅・眼先が多くある魚を良とする。
成長とともに発達するのが最も良い。
第1図は頭部の横見である。第2図は、頭部の上見である。眼の位置に注意していただきたい。(獅子頭らんちゅうの眼)
眼の位置が最外部にきてしまうと発達の終了である。
獅子頭の肉りゅうの発達は、第2図の眼下部より始まり、頭頂部(兜金)、鰓蓋(えらぶた)部の順である。
 肉りゅうが十分に発達する為には十数ヶ月を要する。つまり少なくとも2年を要することになる。
審査に際しては、体の成長とともに肉りゅうが発達することを十分に考慮にいれて対処しなければならない。

 2) 背部


背幅は広く、かつ低くなだらかに適当な丸みをもった背下(さ)がりを最高とし、背の凸凹は上見で容認できる程度なら 可とする。
背幅とは?
第2図に示したように右腹ならびに左腹の端からではなく、前びれ付近の幅である。
背が低いとは?
第1図に示した兜金の頂上より、背の位置が低いことを言う。
背の凸凹については?
背の中央部の場合には気にしなくとも良い。しかし、背下がりの部分はなるべく凸凹が無い方がよい。

 3) 腹部と尾筒


腹部は背と一対にして、尾肩との間隔が適当であることが好ましい。(腹と尾肩の間隔に間延びが少ない)
胴は鰓(えら)より腹部にかけ左右均等であり、腹の下がり過ぎ、出過ぎは好ましくない。
尾筒は背幅に比例して尾付けまで丸みをもって太くたくましいものを上とする。
腹と尾との間隔が適当な腹掛かりとは、らんちゅうが右方向で泳ごうとするときには尾が右側の腹を叩き、左方向へ泳ごうとするときには左側の腹を叩くことを言う。
審査上では、背幅と尾筒を一対とし、腹部の出過ぎ、下がり過ぎを合わせて総合的な纏(まと)まりを見れば良い。
背幅に気をとられ、尾筒が細く、腹の出過ぎたらんちゅうを上としてはならない。
腹は下がり過ぎると頭(かしら)が上を向いてしまい泳ぎが重くなる。


 4)尾部


尾さばきが綺麗で左右対称の前掛かりを持ち、尾先の振り込み部分が腹形の先端位置の鱗一枚ぐらい外側にあるものを理想とする(泳ぐ際に水の抵抗をなるべく少なくし、かつ尾を立派に見せる)。
尾さばきの美しさはらんちゅう自身の美しさに大きな影響を与えるので重要である。
尾芯の立ち上がりは?
小判型のらんちゅうの場合90度であるが、長手・丸手となるとその体型につりあった角度となるが、長手は100度から110度あっても良い。
また、尾形は三つ尾・桜尾・四つ尾とも対等としたい。
尾さばきが良いらんちゅうとは?
尾が大きいということではなく、水の抵抗を少なくして泳ぎ腹形に比例した尾を持っているということである。


 5)鰭(ひれ)部


各鰭とも、均等な大きさがあれば良い。ただし、舵鰭(かじびれ)は一本または二本どちらでも良い。

 6)鱗(うろこ)と色彩


鱗は、乱れず一線に並び、魚体に比例してなるべく小さいものを上とする。(ただし、大型魚を好む場合は鱗は大きくなるが、鱗並びは乱れていないこと)
色彩は、素赤・更紗に拘わらず濃赤または黄金色で、しかも健康色(色艶があるを放っているもの)を上とする。白もこれに準ずる。
素赤らんちゅうの場合は、血統によって濃い赤系と黄金系に別れるが艶のあるほうを上としてほしい。
素赤らんちゅうの場合は、血統によって濃い赤系と黄金系に別れるが艶のあるほうを上としてほしい。
特に、白色らんちゅうについては審査上、不利な面があるので減点のないように留意していただきたい

Ⅲ.ま と め


らんちゅうの優劣を決定するには、各部を部分的に見ることなく総体的なバランスが大切である。少々の欠点があっても全体として均整がとれていれば良魚と言える。
それ故、審査にあたっては欠点さがしをするのではなく、上記に示した各部の基準を参考にして良い点の多いらんちゅうを上位としてほしい。
また、各審査員は審査中、大いに意見を出し合い「良魚(良い点が多い魚)」を見分ける訓練を続けることを希望したい。

以上